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対処すべき課題

現状の課題として第一に、店舗運営力の強化が重要と考えております。当連結会計年度末において92店(うち小売店78店)を首都圏中心に出店し、1都3県において鮮魚専門店としてドミナント化を実現しております。しかしながら、小売業界においては業態を超えた企業間の競争がますます激化しております。食品スーパーはもとよりコンビニエンスストア、ネット販売などとの競争においては、これまで培った鮮魚専門店ならではのノウハウや知見を活かし、今まで以上に顧客のニーズに対応した商品開発や品揃えに注力し、季節感や活気のある売り場を提供するとともに、サービスレベルの向上を図る必要があります。そのため、社員の販売技術や加工技術のレベルアップを図るとともに、パート・アルバイトの職域拡大と早期戦力化に取り組み生産性の向上に努めてまいります。

一方、仕入れにおいて、魚価の高騰、物流をはじめとする諸コストの増大など新たな需給環境に対応し、仕入条件や物流体制の見直しなど原価低減のための努力を行ってまいります。また、長年に亘り培ってきた豊洲市場の卸売業者、配送業者との強いリレーションを活かしサプライチェーンの維持、商品の調達に万全を期してまいります。

次に、収益性に裏付けられた成長の追求があげられます。当社は、小売事業において一定の売上が見込まれるターミナル駅近隣の商業施設を中心に出店しておりますところ、首都圏を中心とした店舗開発情報の収集に力を入れ、十分な収益性の確保が期待される物件の開発に取り組むこと、あわせて、大型ショッピングセンターなど郊外立地への出店にも引き続き注力することが重要であります。一方、人手不足の深刻化が供給制約となり当社にとっても際限なく新規出店を行える環境ではないため、出店先との交渉、既存店舗からの退店を含め、限られた経営資源を効率的に活用できる最適な店舗ポートフォリオ(筋肉体質の店舗網)の構築をめざすことも重要であります。これに先立ち、既存店の収益性・成長性を継続的に検証し、収益性・成長性が不十分な店舗については商品仕入面の取り組みを含め改善のために努力を尽くしてまいります。当社は豊洲市場を拠点にチルド物流及び冷凍物流を一本化した物流網を有しており、バイイングパワーに裏打ちされた仕入力、効率的な物流力が収益性を高める力となっております。このほか、所謂eコマースなど新たな販売手法・ルート開拓への取り組みを行ってまいります。

商品としては、鮮魚店併設の寿司店において鮮魚売場との連携を強化するなど、特に寿司の販売強化を図ってまいります。

他方、飲食事業においては、店舗運営を担当する店舗管理者とメニュー・調理を担当するシェフとの役割分担を明確化するなど店舗オペレーションの見直し、幹部・スタッフ含め人員配置の見直し、作業効率の向上などにより労働生産性を追求し販売管理費を削減すること、また、隣接する当社鮮魚店との連携も取りながら仕入・配送を合理化し粗利益率を改善することにより営業利益の確保を図ってまいります。更に、「魚力鮨」「魚力寿司」といった寿司ブランドの浸透、確立をめざし、品質での差別化にも取り組んでまいります。

また、卸売事業においては、国内での事業拡大に加え、海外で高まる水産物需要に応え、国内外の有力企業とのパートナーシップにより、米国やアジアを中心に既存取引の拡大・新たな販売先の開拓を行ってまいります。

これらの施策を推進する人材の確保と育成は喫緊の課題であります。当社の将来を担う経営幹部や店舗管理職の育成は不可欠であり、専担部署を設置し採用活動の強化及び社員教育を強力に推進してまいります。店舗の重要な戦力となるパート・アルバイトの確保は昨今困難な状況となっており、従来の募集活動に加え社員紹介制度やホームページを活用した募集などにより人員の確保を図っております。

財務上の課題について、当社グループの自己資本比率は80%を超える水準であり、強い企業体質を保っております。2022年4月東京証券取引所プライム市場への移行に際し、同市場の上場維持基準のうち「1日平均売買代金」が基準を充たしておりませんでした。このため、2021年12月に公表した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に基づき、①企業価値向上による株価の引上げ、②新規株主獲得による売買高の増加を課題とし各種取組(②に関し株主還元の強化、普通株式の売出しなど)を進めた結果、2022年12月以降安定的に当該基準をクリアしております。